衝撃的なニュース |お酒好きの話

2012-05-21更新

三出連続候補をⅡ論んでいた私だったが、一出くらい飛ばした方がいいかもしれないと気を取り直した。だが、そんな私に追い討ちをかけるように、ある事実があきらかにされた。それは、私に出版延期を伝えた件のフジノさんが、前回の直木賞受賞者であるつかこうへい氏の舞台「寝とられ宗助」に、役者として出演しているというニュースだった。俺の作仙を先送りして、前回の受賞者の舞台に出る……この意味が私には測りかねた。俺を見限ったのかなという、寂しい思いも籾いたものだった。ところが、フジノさんは屈託なく私をその芝届に招待した。自分の役者ぶりを見てくれというわけだった。ここまであっけらかんとされると、こっちも拍子抜けというより素値になってしまい、私は彼の群台を見に行った。そして、つかこうへい氏の『寝とられ宗助」の実に見事な脚本や減出による舞台を堪能して帰った。そして何と、芝居の打上げにまで参加して、フジノさんのカラオケに拍手を送ったりしたのだった。しかし、事態はどう転がるか分らないもので、私の作品が宙に浮いているのを知って、それならば百枚分のスペースをあけるから、うちで書くべきだと言ってくれた人がいて、それは当時「野性時代」の編集部にいた(やがて『月刊カドカワ」の錬腕編集長となり、今や評判の幻冬舎社長の)見城徹氏だった。『セミ・ファイナル」も「沼橋』を手がけてくれたのも彼だった。その見城氏の友情によって、私は「野性時代』に『時代屋の女一厘を書き、その作品が直木賞を受賞するということになったのだった。で、〃直木賞を待つ夜の酒″ということに関しては、前二出の経験から、受賞しなかった際につき合ってもらった人が困るということが分っていた。そこで、どこかの店で誰かと待つというスタイルをやめ、家で私とカミさんと猫とで待つことに決めた。その当日の夕方、見城氏がふらりと姿を見せた。「何なの、急に……」「いや、この近くを通りかかったもんだから」「あの、きょうは直木賞が決る出なんだよね」「あ、そうみたいですね……」てな会話のあと、とりあえず見城氏が坐り、酒が出た。次に出知のTBSディレクター山村氏がカメラマンや技術の人を連れてやって来て、やっぱり気になるからカメラを出させてくれと言った。兄城氏、山村氏、TVカメラマン、技術の人、カミさん、私、州のアブサン……そんなメンバーで、賞から外れたときのセリフをそれぞれ思い浮べながら洲を飲んでいると、ごく当り前のように受賞を報せる通話がかかってきた。そして、そこにいたアブサン以外が盃を上げ、わりとクールな乾杯となったのでありました。